昨日、「人間力向上」がテーマのセミナーに参加しました。
色々と勉強になるセミナーでしたが、その中で印象に残った話をひとつご紹介します。
その講師の方(以下、Aさん)が数年前にあるセミナーを受講した時のことです。
そのセミナーは1週間の合宿研修。その中でのある1日です。
その日のテーマは「腹の立たない自分になる」。
朝、研修の先生が「最近、腹の立ったことを思い出して下さい。そして、思い出した方から話に来て下さい」と言います。
これが1日の研修のすべてです。
参加者60人に、聞き手の先生は2人です。
Aさんが最近腹が立ったことは次のような内容です。
Aさんは、個人で開業して年収1,000万円の目標を立て、部屋に張り出していました。
それをAさんのお父さんが見て「お前に出来るわけない。こんな目標立ててバカじゃないか!」と言いました。
Aさんは、せっかく目標を立てたのに「そんな言い方ないだろう。『目標に向かって頑張れ』ぐらい言うのが親じゃないか」と喧嘩したことを思い出しました。
Aさんは先生にその話をします。
すると先生が一言。
「何でそのことに腹が立ったんですか?」
Aさん (この先生、私の話を聞いてないのか?)
「今言ったじゃないですか」と言いながら、もう一度その内容を話します。
すると先生が一言。
「何でそのことに腹がたったんですか?」
Aさん (えっ、この先生何なの?信じられない。仕方ない。もう一度言おう。)
もう一度その話を繰り返します。
すると先生がまた一言。
「何でそのことに腹がたったんですか?」
Aさん (ガクッ。)
先生 「一人でじっくりと考えてみて下さい」
Aさん (何が問題なんだ。これが研修?)
考えても分からない。
何度か先生の所に行き話をしますが、
先生はただ一言 「何でそのことに腹がたったんですか?」。
時間の経過とともに、参加者が答えを見つけ、1人、また、1人と徐々に研修場から出て行きます。
夕方、参加者60名のうち残り3名です。
その3人の中の1人がAさん。
Aさん (1日中こんなこと考えていたら、結構、腹が減るな。答えはさっぱりわからない)
Aさんが先生から声を掛けられます。
「何でそのことに腹がたったんですか?」と。
Aさん 「父は私の掲げた目標をみて『お前に出来るわけない。こんな目標立ててバカじゃないか!』と言い、その目標は無理だと思っていました。私は『目標に向かって頑張れ』って励まして欲しかったと思っただけです」
すると先生が「それでいいんですよ」と。
Aさん (えーーーーーーー。)
「それでいいんですか」
先生 「ものごとの考え方は、一人ひとり違う。いろいろ言われても、『あなたはそうなんですね』という受け止め方一つで終わるんです」
『あなたはそうなんですね』
人はそれぞれ、生まれや育った環境が違うように性格や考え方も違います。
それをそのまま受け止めれば、腹が立つことはありません。
「そういう考え方もあるんだ」でいいんです。
Aさんは、それから1週間は心が澄みきったように、まったく腹が立つということがなかったということです。
「人生は修行の場」です。
2008/10/24物事の捉え方、心の持ち方